◆ ロマ書の学び(325)

        習志野バプテスト教会週報
         二〇一〇年三月二八日号
         ▽ み言葉に生きる

 

  愛を負(お)うのほか何をも人に負うな。人を愛する者は、律法(おきて)を全(まっと)うするなり=@   ロマ書一三章八節

  F・B・マイヤー博士の家族は、非常に裕福な生活をしていたのに、不況のため突然ドーンと最低の生活水準にまで落ちてしまった。

  家や家財道具を売り払い、子供達の銀のスプーンやフォークまで売り払わなければ借金を返せなかったという。それらを売ったお金をもってマイヤー博士の父親は一軒一軒をたずねまわって歩いた。そして自分が借金をしていたその借金を全部返していったのである。

  経済的な苦しみの中にあって、マイヤー博士の父親は「私はクリスチャンとして正しいことをしていきたい。愛のほか何をも人に負うな。≠ニいうことを実践していきたい。」と言ってそれを子供達にも教えた。

  貧しい段階から、少しずつ裕福になっていく、これは何も問題がない。ところが、裕福で何の不自由もなく豪華(ごうか)な邸宅(ていたく)に住んでいた者が、みすぼらしい所に閉(と)じこめられるということはどんなにつらいことか想像に難(かた)くない。

  経済的な苦しみ、しかもなお「クリスチャン」として、すべての借金を返していくという辛(つら)い経験の中にあってマイヤー一家は、本当に神様から、信仰の試しを受けたのである。その苦しみの中にあって少年マイヤーは貧しさに耐(た)え、また神様を信頼するということを学び、強いキャラクター(人格)を形成していったのである。後(のち)に有名な牧会者(ぼっかいしゃ)となり、各地から招きを受けた時にはマイヤー博士はお礼をもらうと「これは私にはあまりに過分(かぶん)なお礼です。」と言ってお返ししたと言われている。

  そのようにして、マイヤー博士は自分が何不自由なく生活できるようになってからも、貧しい教会にはいつもその謝礼を置いてくるという形で、自分が少年の時の苦しみを忘れなかった。

  六三年間牧会しながら、スポルジョンと、キャンベル・モルガンという同世代の伝道者の間に入りながらマイヤー博士はたくさんの著書を書いた。このマイヤー博士は八〇冊の聖書に関する本、そして五〇種類以上のパンフレットを書いたと言われている。今、日本にたくさんの本が翻訳されている。マイヤー博士の若い頃の辛(つら)い経験が、彼の人生を豊かにする肥(こ)やしになっていたと思う。

  ある方は今、経済的に苦しい状況にあるかも知れない。「本当ならもっと豊かな生活ができるのに、うちのお父さん、だらしないから。」と思わないでほしい。(続)

 

◎ 暗誦聖句 ヨハネ伝一九章五節「 」内 
視(み)よ、この人なり

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