◆ おろかな水ため
               一九九七年十一月二日号

                ▽神の秩序を重んじよう

               ▽青年に目的、希望を

そはわが民はふたつの悪しきことをなせり。即ち活(い)ける水の源(みなもと)なる我をすて、みずから水ためを掘れり。すなわち、やぶれたる水ためにして水をたもたざるものなり=@             エレミヤ記二章十三節

 イスラエルの第三代王ソロモンは知恵に富む人だったが、若い時の情欲に負けて数多くの女性をそばめとしてかかえた。やがて国の中に異国の女性が持ちこんだ偶像崇拝が黒い影をおとして、選民イスラエルに大きな罪を犯させることとなった。

 ソロモン王は知恵の結晶である箴言(しんげん)を残しているが、わが子を正しく教え育てることには失敗した。

 ソロモン王の息子レハベアムは、父王に仕えた老人たちの意見を聞くよりは、自分とともに育った若者たちの意見を重んじて国を治めようとした。(列王上十二・六〜十一)

 若者の考えるところは三千年前も今も殆ど大差がない。それは既成(きせい)のものに対する反ぱつであり、自己主張である。もっとも、青年たちの意気盛んな活力がなければ、社会の若返りはむずかしいのかもしれない。

 すもうとりの世界では実力がものをいうらしいが、それでも兄弟子と弟弟子の序列はきびしいという。ただ体が大きく力があっても、先輩や師匠たちの助言がなければ横綱になるのはむずかしい。

 老人は若者の考えに何でも反対をするから、相談してもむだだと思うという。私たちは先人たちの失敗や経験から学び、過去の事例から学ぶことが必要である。経験は知恵を増す。年長者は慎重になる。その長所を学んで若者は活力を正しい方向に注ぐならよいのだが……。

 このことは人類の歴史についてもいえるようだ。先祖を崇拝するといいながら、それは自分たちの記憶にとどまる程度の故人までで、アダムにまでさかのぼることはない。

 人間を造り、人間に生命の息を吹き入れてくださった真の神さまをはなれているばかりか、自分の力を過信して、何でもかでも自分を主張する姿。

 水の源(いのちの源泉である神さま)をすて、自分の好むような方法で、水ためを掘る。人は自分のいのちをあやつることが出来るはずがないのだが。

青年諸兄姉よ、賢くなられよ。

                               □

◎ 暗誦聖句  ヨハネ第一書 五章四節  

おおよそ神より生まるる者は世に勝つ、世に勝つ勝利は我らの信仰なり。


本ページへの問い合わせは ruthdick@mtj.biglobe.ne.jp までお願いします。